相続税申告の回顧
  記憶に残る相続税申告事案を思い出すままに書いてみました
 
 初めての相続税申告は、近所の友人のご主人の逝去でした。税理士開業後まもなくの平成3年の秋だったと思います。平成3年と言うとバブルがはじけた直後でした。しかし公務員であった私にはバブルの好景気などまったく関係もなく、実感もありませんでした。
 友人の相談は相続と言うよりもっぱら、ゴルフ会員権や勤務先会社の持ち株の処分などの相談でした。
持ち株については出資額は回収できたと記憶していますが、会員権については紙くずになったように記憶しています。申し訳ないと思いましたが「自分の判断であり何回かはゴルフ場に行ったので仕方ありません」との言葉を後で聞いています。
   相談は顧問先もゼロに等しい時期で助かりました。法人税部門が中心だった私には、税務署内で調査の参考に相続税の申告書を眺めたことと研修時代の机上の知識しかありませんでした。資産状況を聞き出すのに友人でありなかなか大変でした。自分なりに資料を集め、下書きをして所轄某署に持ち込み資産税の先輩の指導を受けました。自宅の80%の評価減が功を奏し納付税額は発生しませんでしたが、申告書は提出しておいたほうが良いとの指導に従い申告書を提出しました。そのまま承認されたようでした。
 「えっ! 報酬ですか?、」「友達価格で内緒です!某銀行に高額で話を持ち掛けられていたようです」   
その2 某先生の相続が記憶に残っています。誰の紹介で私が申告するようになったかは記憶にありませんが
故人の関係者が1枚の銀行残高証明書と1冊の通帳をもってやってきました。生まれて亡くなるまでの戸籍謄本を用してもらいました。1〜2枚の少額定期預金証書はあったものの、1億近い普通預金のみと言うことに違和感を感じました。自宅や事務所などは誰の物かなど気になりました。内緒で某署の先輩に「資料箋等」の有無を聞きに行きました。「そんなの応えられるわけないよ」と言われましたが、その夜、「大丈夫そうだよ」と言う電話をもらいました。今では信じられないでしょう。
 なお、被相続人に聞くわけにもいかず、後で追徴されるのは気分の良いものではないですからね。